【スマートホームのある生活】祖母宅スマートホーム計画

みなさんこんにちは。X-HEMISTRYのHiroです! 

今回は、私の祖母の家をスマート化した話についてお話しします。スマートホームは、最新のデバイスを扱うことが多く「若者向け」と考えている方も多いのではないでしょうか。確かに、利便性を大きく向上させるのもスマートホームの一面ですし、テクノロジーに疎い世代には近寄り難さもあるでしょう。しかし、そんな世代、特に年配の方々にとっても無限の可能性を持ち合わせているのです。そこで、今回祖母の自宅を私がスマート化した経験を元に、どのようなポテンシャルを秘めているのかをご紹介します! 

背景

私の祖母は年齢80歳目前で一人暮らしをしているのですが、関東に住んでいる私や私の母からはかなり遠い場所で生活しています。そのような状況で過去に何度か祖母が体調を崩し、母が心配で様子を見に行くと言ったことがありました。距離が遠いため行くのが大変ですぐに様子を見ることができないため、一人暮らしの祖母が体調を崩す度に遠方の母がその度に心配をしていました。祖母も一人暮らしの心細さもあったかと思います。そこで、私は母が極力心配をなくせて、かつ祖母にも安心して楽しく暮らしてもらえるように家をスマート化することにしました。不安による訪問を無くす、というのを目的としてに、以下の要素のスマート化を行いました。 

  • 見守り→センサーやカメラなどでの防犯と家の中でしっかり健康的な生活が送れているかどうかの可視化 
  • 利便性向上→スマートロック、Switchbot製品や、Googleアシスタントを活用して普段の生活に刺激と利便性をプラス 

祖母の家を、スマート化で便利にして楽しんでもらうとともに、見守りで安心して暮らしてもらえるかどうか、また、母にも見守り側に回ってもらうことで今までとどのような心情の変化があるのか?を検証していきました。 

設置したデバイス紹介 

次に、使用したスマートデバイスについてご紹介します。 

メーカー​​     デバイス​​          用途​ 
Alarm.com ドアセンサー​ドア開閉の検知、玄関とトイレの扉二設置​して、日常生活に異常がないかチェック 
​​ モーションセンサー​ キッチン付近と洗面所付近を確認して、食事の有無などの健康的な生活を遅れてるかどうかのチェック 
​​ 室内カメラ​ ダイニングへの段差での転倒がないかを様子確認​ 
​​ 室外カメラ 玄関付近の監視によるセキュリティ向上 
Google​​ Google Nest hub リビングでの音声操作用​ 
​​SESAMEセサミ5pro 施錠解錠の利便性向上​ 
​ タッチプロ キーパッド、指紋、カードキー用​ 
​Switchbot​ Hub2 1階のエアコンとTVを操作
Aqara​ 転倒検知センサー Wifiセンシングによる安否確認や転倒検知​、室内カメラと組み合わせて通知が来た際にカメラで以上がないかを確認する 

設置作業と設置後のデバイス 

Alarm.com 社は、世界60ヵ国でサービス提供を行う世界最大級のスマートホーム&セキュリティプラットフォーム(SaaS)企業です。祖母の自宅周辺では、以前から空き巣の事例が複数件あったこともあり、祖母も母もセキュリティ面での懸念が大きくありました。そこで防犯対策として、ネットワークカメラを取り付けることにしました。Alarm.comのAIスマートカメラは、映像に映り込んだものを「人」、「動物」、「車」、「その他」のうちから判別してその瞬間のクリップを撮ることができます。また、遠距離からでも普段通りの生活が送れているかどうかを確認できるようにするために、日常的に利用頻度が高い洗面所やキッチン周りにセンサーを置きました。異常が起きた際、特に何日もトイレに行ってないなどでセンサーが検知しない場合にはすぐに通知が来る設定をしました。さらに、異常があった際に室内で何があったか可視化できるように室内カメラも設置しました。室内にカメラを置くことは抵抗感もあるものの、80歳に近い女性が一人暮らしで万が一があった際のことも考え、試験的に設置し祖母の意見を確認することにしました。日本でで直接Alarm.comから製品を買う/使うことはできないですが、弊社は検証のため祖母宅を利用して使いました。 

Google Nest HubとSwitchbot製品は、祖母がよく使用するエアコンとTVをボイスアシスタントを経由して操作できるようにする目的で導入しました。私の祖母は、テクノロジーには疎いどころではなく、アプリを一度開いたらホーム画面に戻るのにパニックになってしまうような人です。そこで、「スマホを使わずにTVエアコンを起動する」というのをテーマにセットアップをしました。Googleに話しかけてお願いをすれば、TVやエアコンをコントロールできるようにしたのです。また、リモートボタンを導入し、寝室からのオンオフなども可能にしました。Switchbotといえば照明などもよく使用されている家電ですが、祖母の家はかなり古く現実的ではなかったため、今回はシンプルにTVとエアコンに留めました。 

SESAMEは、この検証を始めた際にちょうどSESAME5Proが発売されたこともあり様々な解錠方法を有するSESAMEタッチProと組み合わせて導入しました。特に認知症などの症状はないものの、いつ鍵を忘れるかどうかわからない不安などは常に本人も口にしていたので、どの解錠方法が年配にハマるのかの検証も兼ねて使ってもらいました。 

施工を行った後、定期的なフィードバックを祖母と母に重ねていくことで心情の変化やデバイスに関してどう感じているのかをヒアリングしていきました。 

祖母からのフィードバック

では、ここから、施工してからのフィードバックを紹介していきます。 

祖母には施工した直後と比較して2ヶ月間利用したあとに各デバイスに対して印象がどう変わったのかや利用してみた感想を、母にもAlarm.comのみですが同じ内容を確認してみました。その時に「このまま使い続けたいかどうか」も聞いてみたので一緒に紹介したいと思います。 

祖母の「スマートホームスケジュール」

まずはAlarm.comについてです。 

祖母は、設定当初家の中にカメラがあることに違和感を覚えていたようで、階段の段差部分で転んだ場合に状況を確認できるようにと伝えカメラ設置に了承してもらうことができたものの見られている感じは気になるとのことでした。ですが、2ヶ月後には気にならないという感想に変わりました。今回はカメラ映像を確認して祖母に連絡することがなかったので、結果論にはなりますがカメラで見られている印象が薄れたためと思われます。 

母はというと、設置当初は本人よりも設置には反対意見で嫌悪感をいただいてほどでした。理由を聞くと、自分がその状況になった時に生活が丸見えになりかなり抵抗があるというものでした。ただ遠方の祖母を心配する気持ちから渋々カメラ設置や映像・センサー情報の定期確認に了承をいただきました。しかし、2ヶ月経ってみるとAlarm.comがないと生存確認ができないと話すほど重宝していました。定期的にカメラやセンサー情報をみて祖母がしっかりと生活を送れていると確認できることに安心感を覚えたようです。あくまでもそっと見守るという意識の中で使っていたようで、見た情報も全部を全部本人には話さずにしていたようでした。気にしない祖母と気にさせずに見守る母、という良い構造が出来上がりました。 

次にスマートロックについてです。、設置時にちょっとしたトラブルが起きました。指紋登録は問題なくできたものの、指紋認証からの開錠操作がうまくできなかったのです。年齢を重ねることで指紋がなくなってしまうことがあるようで祖母の場合もこれが該当している可能性が高そうでした。そこで他の認証方法で簡単に利用できそうな暗証番号での解除で使ってもらうことにしました。設定当初からスマートロックは思っていた以上に好評で、設置時から「これは最高だ」と口にしていました。鍵を持ち歩かなくて済むことが特に嬉しかったようで設置してすぐに鍵を持ち歩かなくなり、近所の人にも自慢をしたようです。。ただし建て付けの問題でドアをしっかり押し込まないと閉まらないため、自動施錠設定をしていてもドアが閉まり切る前に施錠されてしまう点については不満があったと言っていました。2ヶ月後のフィードバックでも相変わらず絶賛しており、今回利用したデバイスの中ではスマートロックが一番よかったと嬉しそうに話していました。鍵を忘れたりなくしたりと言った不安からの解消がハマったようで、いまでも鍵を持ち歩かないキーレス生活を楽しんでいます。 

Google nest hubとSwitchbotに関しては、最初のレクチャーから一苦労でした。私の祖母はスマホではLINEしか使わず、他のアプリを開いたことがありませんでした。所有しているのが高齢者向けスマホなのですが、説明用に私のスマホを渡しても怖がって触ろうとしないほどでした。 そこで、操作方法をGoogleの音声操作に限定しました。Switchbot製品といえば、アプリ内で様々なデバイスを追加して、操作したりオートメーションを組めるのが魅力的なポイントの一つですが、それらをあえて伝えずに、「TVをつけて」や「エアコン消して」など簡単な音声操作だけを設定してこれらを紙に書いて練習してもらいました。 

初期は、音声認識が別の部屋から届かなかったり、話しかける意図はないときにもGoogleという単語で反応することに対して戸惑いを覚えたそうです。いつも通りリモコンを使って操作してしまうこともしばしばあり、時間をかけて慣れていったといっていました。それでも、使ってもらう中で何度か自分の方から応用的な使い方(天気を聞いたり)などもレクチャーしていくことで、徐々に操作に慣れていき音楽をかけて楽しんだり「話し相手」として使うことも増えていったそうです。2ヶ月後のフィードバックでは、時事ネタをGoogleに聞いてみたり突拍子もない質問をしてみるなど、家電操作以外にも遊び心さえもった扱い方をしていました。印象的だったのは、一人暮らしの祖母にとって「寂しさが和らぐ」と言われたことです。機械を毛嫌いしている祖母が音声アシスタントにハマってくれたのは驚きでした。 

まとめ 

今回の実証では、祖母宅をスマート化することによって高齢者へのスマートホームの可能性を開拓してみました。今回の実証を通しての感想ですが、祖母から概ねポジティブなフィードバックを貰うことができてよかったと感じただけでなく、祖母の適応力に驚かされました。特に、スマートロックを早々に取り入れて鍵を持ち歩かない決断をしたり(一応倉庫にスペアキーは忍ばせていたそうですが)、Googleとのやり取りを楽しんで自分からどんな答えが返ってくるかを楽しんでみたり(そして孫に結果を報告する)など、予想してないところまで発展していたのです。そこから得た学びとしては、様々な機能がある中でいかにシンプルに伝えるかが大事ということでした。恐らくスマホでの操作や設定変更のやり方などを無理に教えようとすると、拒否反応を起こしていたと思います。 

実は私自身が行ったことにも課題が見つかりました。、今回はDIYでスマート化をしましたが、ただ設置するだけでなく配線や固定方法を祖母の生活を邪魔しないように整理する必要があり、DIY初心者の私には適切な方法がわからず苦労することが多かったです。また、祖母が遠方に住んでいるため、遠隔での設置設定の変更が難しい点や、いざトラブルが起こったとしても私が訪問するまで放置になってしまう点もありました。 

しかし、スマートデバイスでポジティブな経験を提供できたことや、母にも見守り側に回ってもらうことである程度の安心感を与えることができました。もし私と同じように見守りで少し困っている方は是非参考にしてみてください。 

スマートホームのプロ集団X-HEMISTRYでは、今回ご紹介したスマートロックをはじめとしたスマートホームの関連技術やビジネスにおける活用事例を幅広くノウハウとして保有しています。  

スマートホーム先進国アメリカにおける事例の数々や調査データも多数保有しており、スマートホームの活用を検討・推進している企業様をご支援するサービスの提供が可能ですので、お気軽にお問い合わせください。