仕事がら長年スマートホームを使っているが、我が家の生活に欠かせないスマートデバイス、スマートロックについて記事にしてみようかなと思う。
スマートロックは気になるけど、いまいち手がでないという人に背中を押してみたい。
「スマートロックとは」という説明をようやくしなくても良くなってきた2023年の今日この頃ではあるが、我々がスマートロックを世の中に出した2015年当時の日本は、IoTという用語やスマートホームと用語すら一般人に認知されておらず便利で欲しいという声もありながらも「危なくない?!」という声を頂くことも少なくなかったのがもはや懐かしい。
それでも我が国のスマートロック普及率はまだ数パーセントに過ぎない(まだまだ日本は普及率が低すぎて信憑性のある普及率データがない)。
では、海外ではどうかというと、スマートホーム先進国アメリカの場合、2022年6月時点でインターネット加入世帯のうち1,200万世帯がスマートロックを保有しているという統計データが出ている(米国調査会社Parks Associates調べ)
実際にアメリカの家電量販店やホームセンターに行くと、複数のスマートロックが普通にどこにでも売られている状態になっているし、アメリカのニュース番組などを見ていても普通にスマートロックの話題が出てきたりしているレベルである。
アメリカの普及率で見てもスマートビデオドアベルと並んでスマートロックが一番普及しているスマートデバイスとなっていて、これが組み合わせで使われるとさらに威力を発揮するのだが、その辺は後日スマートドアベルについてnoteするときに触れていくつもり。
では、スマートロックってどんなメリットがあるのか?というところを改めて整理してみたい。
普通の生活シーン
まずそもそも物理的な鍵を持ち歩かなくても良い、これは体験してみると想像以上に快適で、QOLの上がり方が半端ないことを実感できるはず。
新貝家は皆、もうかれこれ8年ほど自宅の物理鍵を持ち歩いたことがない。
僕はランニングが趣味で、走ることができる日はだいたい走っているが、ランニングで鍵を持たなくてもよい開放感はこの上ない。
ホテルに泊まった際にもランニングをするが、カードキーですら持って歩かないといけないことすらも鬱陶しいと思うくらいの快適さである。たまにホテルが古く、鍵型タイプの場合だとランニングが楽しくなくなるくらい不快感を感じる。
ランニングギアとしてスマートロックを扱うべき、というくらいオススメなので、その手のお店を運営している方、スマートロックのお取り扱いを是非オススメします。
そもそも物理鍵を持ち歩かなくてよいということは、鍵を紛失するリスクからも解放される。子供やお年寄りが一緒に住んでいると、鍵をなくしてしまうリスクも高まるし(もちろん、大人も酔っ払ってなくすケースなんかもあるので、一概に子供やお年寄りのみがリスクでもない)、実際に紛失してしまった場合には万が一のため錠前を交換するケースもあると思うが、そういった漠然とした不安や紛失時の出費を抑えることもできるのである。
オートロック設定ができるスマートロックも普通にあるので、よくある「鍵を閉め忘れていないかな?」という不安からも解放される。ちなみにオートロックについては、ドアの建て付けやスマートロックの作りによってはうまく作動しないことがあるため、スマートロック選びや設置のときのチューニングには最新の配慮が必要だったりする(が、非常にテクニカルなのでここでは割愛)。
さらに言うと特に共働きの子育て世代にとっては最高にオススメ!
うちもかつては共働きで、子供が小学低学年のときには学童を活用していた。学童に預けているということは、誰かがお迎えに行かないといけないわけで、うちの場合は妻が時短勤務を申請し、毎日子供を学童まで迎えに行くという生活を送っていた。
子供が小学3年生になったとき、スマートロックもあるし一度一人で学校から帰らせてみよう、という試みをしてみたところ、これがうちの妻に大ヒット!
うちはスマートロックに加えて玄関付近にネットワークカメラを設置しているため、スマートロックが開けられたことをきっかけにしてネットワークカメラが撮影を開始し、その動画をスマホに届けてくれるようになっている(スマートホームはこういう異なる機器の連動設定ができるところがスマートな所以)。
つまり、子供がいつ帰ってきたのかもわかるし、さらにその様子も動画付きで知ることができるわけである。うちの場合、これが数年間撮り溜まっているため、ちょっとした子供の成長履歴もスマートロックとネットワークカメラのおかげで楽しめたりする。
ただ、なによりも学童の費用がかからなくなったり、時短による給料の減額がなくなるというROIの高さがヤバいのである。
では、スマホを持っていない子供がどうやってスマートロックを解錠できるのか、というと、うちのスマートロックは屋外側に暗証番号用のキーパッドがついているため、子供は暗証番号で解錠して自宅に入室できるというわけである。暗証番号が漏れてしまうリスクについては、子供に「暗証番号が他の人に知られると泥棒が来るから気をつけてね。暗証番号は周りに人がいないかを十分に確認してから、自分の身体で覆い隠してから入力するんだよ。」と教育しておけば良いのである。そうすると子供は無邪気にも毎日その通りにするので、その姿もまたかわいく楽しめるというお得付き。
万が一他人に開けられたとしても、スマートロックはそもそも操作履歴がスマホに記録されるし、設定しておけば解錠されたときにスマホに通知が来るし、うちの場合だとそれが映像付きで送られてくるわけで、そういった不測の事態にもすぐに気づくことができるし対処も可能なのである。
ちなみに暗証番号って指紋で推測できてしまうのでは?という不安を感じる方もいると思いますが、スマートロックによっては指紋の位置をちらすための工夫がされているものもあるので、そういったものをオススメします。
あとはゲストが遊びに来るときにも威力を発揮する。例えば、両親が遊びに来るときはスマホでデジタルな鍵をシェアできたりまでしてしまうわけである。シェアの方法もいろいろとあり、単純にアプリでシェアする機能があるものもあれば、Lineでシェア、一時的な暗証番号を発行してあげる、なんてことまでできてしまう。こういったデジタルキーのシェア機能は永久に使えるわけではなく、何月何日の何時から何時まで、という有効期限付き時限設定ができるものが一般的になりつつあるので、安心して使うことができる。
こういう話をすると「いいね、便利だね」「欲しくなりました」という人が割りと多いがFAQとして「スマホをなくしたら大変なことになりますね」というものがある。そんな貴方にいつも問いたいのは、スマートロックを持っていなくてもスマホをなくしたらダメージが大きくないですか?ということだったりする。
質の悪いスマートロックは落ちてしまったり、開かなくなってしまったりと問題が起こることもあるが、しっかりと作られたスマートロックは、万が一電池切れになったときの救済策なども用意されていたりして、故障などがあっても閉め出されない工夫がされていたりもする。
長くなってしまったので、住宅以外の利用シーンは後日別途noteすることにするが、今後はスマートホームの新スタンダードMatterの登場よって、より便利に使える時代が到来する。皆さんが使っているiPhoneにもApple HomeKeyなんていうものが標準で搭載されていたりするが、残念ながらスマートホーム後進国の我が日本ではまだ対応しているスマートロックが存在しない。他にもスマートロックをさらに便利にする新技術や新標準が出てくる予定だが、もしビジネスでスマートロックやスマートホームを活用して事業化を検討したい、という企業担当者がいたらX-HEMISTRYまでお問い合わせを頂ければお手伝い致します。
著者 : 新貝 文将
スマートホームに特化したコンサルティングサービスを提供するスマートホームのプロ集団X-HEMISTRY株式会社の代表取締役。
2013年から東急グループでスマートホームサービスIintelligent HOMEの事業立ち上げを牽引し、Connected Design株式会社の代表取締役に就任。
2018年には株式会社アクセルラボの取締役 COO/CPOとして、SpaceCoreサービスの立ち上げを牽引。
2019年秋にX-HEMISTRY株式会社を設立。スマートホーム事業に関連するノウハウを惜しみなく提供する形で、多くの日本企業向けにスマートホーム事業のノウハウを伝授しつつ、数々のスマートホーム事業企画/立ち上げにも寄与。
リビングテック協会発行「スマートホームカオスマップ」の製作にも深く関わり、スマートホームのエキスパートとして日本のスマートホーム業界で認知されている。
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