スマートセキュリティの魅力はデバイス連動
2024年10月号のSecurity Business Magazineに掲載され、SIWがまとめた記事を日本語で解釈しお伝えしています。
アメリカのインターネット回線を契約している家庭の40%が接続されているスマートホームデバイスを複数統合したルーティンを設定していることが判明しました。一方で、残りの60%の家庭はスマートデバイスを単体で使用しているため潜在的な価値があるといえます。
特に、セキュリティシステムを導入している家庭では、スマートアクションを連携させる傾向が強く、セキュリティシステムを持つスマートホームデバイス所有者の53%が、複数のデバイスを連携させていました。
ビデオドアベルとネットワークカメラの役割
ビデオドアベルやインターネットに繋がったカメラは、スマートホーム市場で中心的な役割を果たしています。映像と通知を統合することで、リアルタイムの監視と瞬時のアラートを提供し、家庭の安全性と安心感を向上させています。Parks Associatesの調査によると、インターネット対応家庭の30%がスマートカメラまたはスマートビデオドアベルを所有しています。この市場では、付加的なサービス提供が重要で、所有者の約3分の2がサービス料を支払っています。
シーン設定の魅力
カメラ以外のスマートホームデバイスが普及する理由の一つが、自動化による利便性の向上です。ルーティンは時間、人物の存在、その他の条件に基づき、複数のアクションをトリガーにできます。特にセキュリティシステムを所有する家庭では、53%がスマートデバイスを連携させており、スマートアクセスデバイス(スマートドアロックやガレージオープナー)を所有する家庭でも高い連携率が見られます。
エコシステムの重要性
統合されたスマートホーム体験が理想ですが、市場では依然として断片化と互換性の問題が課題です。主要なプラットフォーム(Amazon、Google、Samsung、Appleなど)は、ブランドロイヤルティを高める「エコシステム効果」を目指しています。たとえば、LGはHomeyを買収し、独自のThingQプラットフォームを強化しつつ、他社デバイスとの統合を目指しています。
AIの可能性と課題
生成AIは、より直感的なルーティン設定を可能にする潜在力を持っていますが、大多数のユーザーはアプリやスケジュール設定による手動操作を好んでいます。予測型自動化に対する消費者の受容度はまだ低く、業界の方向性とのギャップが見られます。Samsung SmartThingsなどは、QRコードを利用したルーティン共有機能などの改善を導入し、設定の簡素化を図っています。
スマートホーム市場は急成長を遂げていますが、断片化、設定の複雑さ、AIの活用法に関する課題が残っています。
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スマートホームは「UX」が鍵
Parks AssociatesとAsurionの共同で発表されたホワイトペーパー「スマートホームの混乱:ユーザーエクスペリエンスへの影響」からのParks Associatesが抜粋した記事を日本語でまとめています。
購入までのサポートが重要
購入時からの顧客サポートとして、消費者が自身に合った最適な製品を選ぶための情報収集ができる状態にすることは非常に重要です。Parks Associatesのデータによると、インターネット回線を契約している家庭の1~2%が過去1年に購入したスマートホームデバイスを返品しています。返品率は購入率の2~5%に相当します。メーカーは、消費者が購入した製品を正しく理解し、設定できるようにサポートする必要があります。
製品情報は明確で分かりやすく正確であるべきです。そうすることで購入者の期待値をコントロールし、返品を減らすことができます。また、企業は消費者向けに積極的な設置や設定のサポートを提供することが重要です。主要なスマートホーム製品カテゴリの中でも、ビデオドアベル、スマートサーモスタット、ネットワークカメラ、スマート電球を購入した世帯の21~23%が、設置を「非常に難しい」と感じています。
信頼とロイヤルティを築く
サポートは信頼とロイヤルティを構築し、返品率を下げ、エンゲージメント戦略にも貢献します。しかし、従来のサポート体験は消費者にとって満足のいくものではなく、OEM製品のサポートは自社製品の技術支援に限定されることが多いため、ユーザーのサポートまで行き届いていません。また、技術サポート以外の継続的な価値提供の機会を逃していることも課題と言えます。
特にスマートホームでは、口コミやレビューが購入までの過程において重要な役割を果たします。友人や家族からの製品紹介や広告を通じて、関心を購入に結びつけることができます。マーケティング戦略においても、製品の利便性や価値提案できる可能性を大事にすべきです。
理想の自動化UXを目指して
消費者はひとつに統合されたスマートホーム体験を求めていますが、多くの場合、製品それぞれのアプリを使う必要があります。現在、スマートホームデバイス所有者のうち40%しか複数デバイスを統合したシーンを設定していません。これにより、多くの消費者は製品の本来のポテンシャルを十分に引き出せていないのが現状です。
返品率の影響
返品率の増加は収益に大きな影響を与えてしまいます。たとえば、米国では毎年2%にあたる250万世帯がビデオドアベルを購入したのちに、返品しています。そのうち6%の世帯は他のデバイスを購入せず、35%は別のブランドのデバイスを購入しています。平均購入価格が93ドルである場合、このカテゴリで年間約1,350万ドルの損失が発生し、競合ブランドに移る収益は約7,900万ドルに上ります。
このホワイトペーパーは、スマートホーム市場の複雑さと競争が増す中で、サポートサービスとユーザー体験がいかに差別化の要素に繋がるかを探っています。
Parks Associates 2024年11月13日:
X-HEMISTRY社員のひとこと
スマートホーム業界では「スマートホームは経験しないと良さが分からない」と頻繁に言われますが、逆に悪い経験をしてしまうと、特に買い切りの商品の場合は、メーカーが気づいた時には他社製品へ乗り換えられてしまう可能性があります。
どのように顧客へ「分かりやすく」「使いやすく」サポートし、さらにユーザーが未だ気づいていない、使いこなせたら便利な機能をいかに使ってもらえるか、ということが重要だということがアメリカの事例からも分かります。
特にデバイスを連動させたスマートホームUXは、使い始めてしまうとただの自動化に過ぎず、便利さに気づかなくなるほど便利なものです。設定方法だけでなく、どのように連動させるとより生活が豊かになるのか未だ知らない人々にアイデアを提供することもサポートの一つになるかもしれません。
X-HEMISTRY(ケミストリー)は、日本のスマートホーム市場を大きくすることでスマートホームデバイスを手に取りやすくし、多くの人々の生活の一部となる日が近づくように、日本のスマートホームプレイヤーを引き続きご支援いたします。
X-HEMISTRY(ケミストリー)はスマートホームの可能性を最大限に引き出し、人々の暮らしをより豊かにするお手伝いをします。新規事業の立ち上げから、教育、そして事業設計まで、スマートホームに関するあらゆる課題を解決し、お客様のビジネスパートナーとして共に成長していきます。
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